の『ノウアスフィアの開墾』の記事を読んで驚いた。

これって岡田斗司夫氏のいう「評価経済社会」そのものじゃないか!
評価経済社会というのに未だ実感を感じにくい自分にとって、オープンソースっていうソフトウェアの世界はとても示唆に富んだ実例だった。

以下引用とその感想;

そこから、贈与文化へ進む。物が有り余っていて生存のための競争(略)が不要なら、お互いに物を譲りあうほうが生きるのが楽だ。そのような文化では、気前が良くてみんなに物をばらまく奴が偉い。尊敬を集める。これが、ハッカー(略)が生存する空間=ノウアスフィアの文化だ。で、この空間において最も重要なものは、評判(=集めた尊敬)だ。つまり、ノウアスフィアにおいて貨幣経済での貨幣に相当するものは、評判で(以下略)

もともと、ソフトウェアというのは「フリー」化しやすい「ビット」の世界で、逆にお金をとりにくい世界。そして、みんなに「シェア」して使ってもらうことで初めて価値があるので、「評価経済」とはとても相性がいい。そこで、いち早くに「評価経済社会」に突入していったのだろう。


しかし、巨大な評判を持つ人間が評判を得ているのは、評判を持っているからだ(略)から、インセンティブは評判の維持にある。評判を維持するためには、ハッカー倫理にしたがう必要がある。

かくして、圧倒的な能力(略)によって独裁的な権力を他のメンバーから与えられたが、その基盤は評判である以上、彼は評判を失うような行動は取れない(まあ、取る必然性もない)。したがって、この独裁者はいやがおうでも、「優しい独裁者」とならざるを得ない。
 
そこで、ラリーもリナスもマッツもナイス! なのは当たり前のことなのだ。

これって、まさに「いい人戦略」そのもの!
評価経済社会ではいい人戦略を取らざるを得ない、っていう実例で心底驚いた。

さらに言えば、Rubyの開発者 Matz はすでに FREEex化しているといえる。Matz はいくつかの企業に属して給与を得ているけど、各企業の業務を期待されている訳じゃなく、仕事は自分のやりたい「Ruby の開発・普及」だけでいい。それで充分生活できている。
こういうスーパーハッカー(?)みたいな人が日本に何人いるか分からないけど、実例として一人は存在することは確か。


ここで面白いのは、ソフトウェアの社会もすべて評価経済になっている訳ではないこと。
有料のソフトもあるし、オープンソース/フリーソフトをサポートする有料サービス、あるいは無料のソフトを動かすサーバー/クラウドの使用料をとるサービスも貨幣経済に属する。

すべてが評価経済になるわけではなく、貨幣経済と混在・共存している。これがまさに評価経済社会の姿なのだろう。


これから、評価経済は他の分野でも確実に進行していくと思われる。だからこそ、いち早く評価経済を先取りしたソフトウェアの世界は、他の分野の未来を占うモデルとして注目していく必要があると思う。



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